第150話・今川義元殺人事件2


(未読の方は下の2つの記事から順番にお読みください)

第143話・今川義元殺人事件
今川義元殺人事件

「と、まあ新たな設定で、『今川義元殺人事件』の前半を書いてみたんだがね」

「賢明ですね、先生。前回の壮大すぎるプロットは出版不能でしたから」

「うむ。より読みやすいものにする、というのも読者へのサービスだと思ってね」

「で、それはそれとして、この話の解決部分が気になるのですが」

「おう。手がかりは前半部分にすべて提示されている。君ならどう推理するね、入江君?」

「これはダイイングメッセージの謎解きがすべてですね」

「鋭いじゃないか」

「おだ、と言って今川は事切れたわけですが、きっとこのダイイングメッセージは
 不完全なものだったんじゃないですか?」

「ますます鋭い! ダイイングメッセージというものは死に際に残すものだから、
 往々にして不完全なことが多いのだよ。たとえば『鬱』という字を書こうとして
 最初の1画を書いたところで力尽きるとかな」

「そんなもんわかるかい!」

「だから『おだ』も、ある言葉を途中までしか口にできなかったわけさ」

「おだ……のぶなが?」

「君はツッコミ役なのだから、ボケなくてもいいぞ」

「被害者は今川義元、ってことは静岡県人なのですね?」

「そうだよ。真相に肉薄してきたな、入江君」

「つまり、これは静岡の方言に関係があると」

「ゴールはもう君の目の前だ。さあ、テープを切りたまえ」

「わかりましたよ。今川は『おだっくい』と言おうとしたのです」

「正解! さすがは静岡県人!」

「私は本籍が神奈川県で住民票は東京都なんですが」

「そうなの? まあいいや。で、ダイイングメッセージが
 おだっくいだったとすると、犯人は?」

「豊臣ですかね。おだっくいという方言は、『お調子者』を
 意味する言葉です。戦国武将の中でお調子者の
 キャラクターといえば、やはり秀吉でしょう。まあ、信長も
 お調子者的なところはありますが、秀吉ほどじゃないし、
 家康がお調子者だったら、歴史が変わってます」

「見事だな。完全正解じゃないか」

「どうも。しかし、上清水先生、この本は出版できません」

「え? どうしてかね?」

「ただのダジャレだし、そもそも静岡県内ですら、ほとんど
 死語になっている言葉がカギなのでは、読者をあまりに
 限定しすぎますよ。どうしても出版したければ、うちじゃなく
 静岡新聞社刊・多賀書店限定販売にしてください」

「それじゃ、ほとんど売れないじゃないか」

「売れるわけないじゃないですか」

「せめて戸田書店か谷島屋で」

「焼け石に水です」

「じゃあ、これもボツ。新たな今川義元殺人事件を
 執筆せねばなるまいな。……おっ、いいアイデアが浮かんだぞ」

「一応、聞いておきましょう」

「タイトルはズバリ、『タイムスリップ今川義元』。あの今川義元が、
 現代の静岡にタイムスリップして巻き起こす珍騒動!」

「出たな、盗作王」

「義元興業というお笑いプロダクションを興し、あの吉本興業に
 宣戦布告。日本統一を目指したお笑い戦国時代の幕開けだ!」

「極めて不本意ですが、それはちょっと面白いかもしれません」

「そして、いよいよ決戦の場は桶狭間!」

「今川、負けるんじゃん!」

「桶狭間で今川を破ったのはもちろん、織田信長」

「吉本興業はどこへ行ったんですか」

「しかしその信長とて、栄華は長く続かない」

「本能寺ですね」

「いや、マンハッタン上空に現れた第六天。そこで
 紐育華撃団に倒される」

「それ、サクラ大戦Vじゃないですか」

「摩天楼にバキューン!」

「もう、ええわ」
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by osarudon1 | 2005-08-18 11:39