第175話・決定放棄



約30人ほどの住民が全員『曽根』という姓の村で、
村長の曽根正宗が殺害されるという事件が発生。
被害者はいまわの際に、自らの血で床に犯人の名を残した。
ダイイングメッセージである。
その犯人の名は『曽根』。
とはいえ、容疑者は全員が曽根姓だけに、これだけで
犯人を絞り込むのは困難かと思われた。
しかし、閉塞した捜査状況を打開したのは、名探偵X。
なんと、どの『曽根』が犯人か、指摘してしまったのだ!

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と、ここまで書いて私は筆が止まってしまった。
その理由は3パターンのオチを思いついたため、
どれを採用すればいいのか決めかねたからだ。
しかも非常にまずいことに、どのオチも切れ味がいまひとつ。
仕方がないので3つとも書いて、
「どれが一番マシか」は、読む人それぞれに委ねよう。
(あ、別にコメントで投票してもらうとかそういう企画ではないです)
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『オチ・1』

名探偵Xは、一人の男を指差した。
「犯人は、曽根さん、あなただっ!」
名指しされた曽根はブルブルと震え出し、両手で顔を覆った。
「……名探偵Xさんが現れた時点で、私は敗北を確信していました。
 お見事です。私が曽根村長を殺しました……」
こうして事件は無事解決を見た。
しかし、名探偵Xがどうして曽根を犯人と見破ったのか、
不思議に思った金原警部がその理由を尋ねた。
「警部、犯人は自白しました。犯人の家から、凶器と思われる
 物証も出てきているようですし、もうそんな理由など、どうでもいいでしょう」
「そうはいっても、私も、読者も説明してもらわなければ納得せんよ」
「事件はすべて終わったのです。余計なことは言わぬが花」
そう言い残して、名探偵Xは去っていったのであった。

終わり。

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『オチ・2』

「そもそもこの村の人たちは、全員、曽根さんだ。みなさんは、
 まさかお互いを名字で呼び合っていたわけではないでしょう?」
集まっていた村民たちは、一様にうなずいた。
「つまり、姓ではなく、下の名前を呼んでいたのですね?」
村民、またうなずく。
「ならば話は簡単です。村長が残したダイイングメッセージも、
 姓ではなく、下の名前だったのです」
犯人は、曽根曽根。
そんな名前のやつがいるかって?
いたんだよ。一人だけ。
そいつが犯人だったんだよ。

終わり。

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『オチ・3』

「見たまえ、被害者に残された30個所近い刺し傷を!」
村長という立場を利用してさまざまな悪事を働いていた被害者。
当然のごとく、村民全員から怨みを買っていた。
「ダイイングメッセージは、一人の人物を名指ししていたのではない。
 この村の人々、全員が犯人だったのだ。そう、まさしくあの有名な
 オリエン(以下自粛)……」

終わり。
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by osarudon1 | 2005-10-28 20:20