第200話・名探偵X退場

山奥の村で起こった曽根殺人事件。
ずいぶんと長い間、俺はその事件に関わっていたが、
結局、解決を放棄して街へ戻ってきた。

別に、俺の能力が足りないがために解決できなかったというわけではない。

村の住人を含め、誰ひとりとして、解決を望んでいなかったからだ。

物語は、曽根村長が殺された時点で既に終わっていた。
そこが、結末部分だったのだ。

つまり、それ以降の、謎の解明など、全くの蛇足。

すなわち、探偵の存在自体が、意味を成さないものだったというわけだ。

名探偵の大活躍に集まる期待は、今やほとんど無いに等しい。

いや、ここはミステリィそのものが、求められていない世界。
そんな世界に名探偵の居場所などない。

ここは、もはや私の居るべき場所ではない。

簡単には解けそうにない、不可思議で魅力的な謎。
その謎が、まるで霧が晴れて視界が急に広がるように解き明かされる瞬間。
そういうミステリィが、いまだ力を持つ世界があるのならば、
俺は、そこへ行こう。


さようなら、諸君。

ミステリィは、この世界ではもう終わっている。

別の世界で、また会おう。
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by osarudon1 | 2005-11-21 20:17