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第7話・謎の「ドシャムキョプー」

もうあまり長くは持ちそうに無い。
息絶えてしまう前に、なんとしてでも
俺を襲った男の名前をダイイングメッセージとして
残しておきたい。
しかし、万が一、奴がここに戻ってきたら……。
名前をそのまま書き残しておいたなら、奴に
消されてしまうだろう。
それが自分の名前だと奴に気づかれないようにしなければ。
凝りに凝った暗号にすれば、大丈夫か。
あらゆる雑学に精通した名探偵Xなら、きっと解読してくれるはずだ。
……。……。……。
これでよし。
奴の名前をアナグラムで解体し、それをアルファベットに変換。
さらに、その単語から連想されるシェイクスピア作品を、
パレスチナ問題と関連付け、山口百恵のシングルB面曲を暗示。
これならば、絶対に気付かれまい。頼むぞ、名探偵X。
ああ、意識が遠のいていく……。



数分後、男を襲った犯人が、死亡を確認するために戻ってきた。
絶命している男の指先に血液が付着しており、
死体の近くに何やら怪しげな文字が書き残されているのに気付く。
ドシャムキョプー……? なんだ、この文字は?」
もちろん、犯人にドシャムキョプーの意味はわからない。
わかるのは世界広しといえど、名探偵Xと被害者本人だけだろう。
しかし、犯人にも最低限のことはわかる。
それはこの文字が意味こそ不明だがダイイングメッセージであろう、
ということだ。
犯人は、とりあえずハンカチで血文字をぬぐっておくことにした。
こうして、死に際のメッセージが名探偵Xに届くことはなかった。
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by osarudon1 | 2004-05-14 16:35