第8話・日常の謎

有名な探偵の孫である彼が通っている不浄山高校は、
国立大合格者数よりも殺人事件被害者数の方が多い。
今週も既に、3人の生徒が不審な死を遂げている。
美術室や音楽室、そして体育館などが謎の密室と化すのは、
もはや日常茶飯事といえるだろう。
演劇部などは特に極端な状況で、
これまでに何人の部員が殺されているかわからない。
演劇の舞台では裏方か、せいぜい脇役しか与えられない地味な生徒も
現実世界では、よくて容疑者、たいていは被害者か犯人という、
晴れ舞台が用意されているのだ。

探偵の孫は、今日も教室の窓からぼんやりと空を眺め、
かなわぬ想いを馳せる。
(あ~あ、喫茶店で砂糖をコーヒーに入れまくる女子高生とか、
幼稚園にあった木馬が夜の間に姿を消してしまったとか、そんな
ショッキングな事件が起こってくれないかなあ……)

無論、彼が夢想するような異常極まりない事件は、
小説の中にしか存在しない。
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by osarudon1 | 2004-05-15 09:19