第25話・叙述トリック3点セット

ネタが枯渇したダメ推理作家の私は、
またしてもネット通販で「トリック」を
注文してしまった。
アイデアが浮かばないときは、これが
意外と重宝するものだ。
今回買ったのは、「叙述トリック3点セット」。
3つバラバラに使ってもいいし、別々の
作品に使い分けてもいい、というお得用。
値段も5980円、と格安だ。
本当は「嵐の山荘密室大トリック」が
欲しかったのだが、こちらは12万4800円と高い。
そんな大トリックは長編に使わねばもったいない。
とりあえず雑誌に書き下ろす短編用なら、3点セットで
なんとかなるだろう。

とかなんとかいってる間に、商品が届いたようだ。
もちろん形がある物ではないので、
テキストデータとしてメールで届く。
さてさて、どんなトリックかな?

「この度はご注文ありがとうございました。
さっそく、3つの叙述トリックを紹介いたします。
このトリックを使って、素敵な小説を仕上げてくださいね。

*叙述トリックその1*
 「イエティ」という名のスキー客向けペンションで、
 雪男が大暴れ。これは、謎の怪物・ユキオトコではなく、
 山田雪男(ヤマダ・ユキオ)という人間が犯人というトリック。

*叙述トリックその2*
 スナックに毎晩やってくる「常連さん」。
 その正体は、近くにある寺の住職三兄弟、
 常信、常玄、常連の末っ子だったというトリック。

*叙述トリックその3*
 ハサミ男ならぬ、ホウチョウ男が国会で大暴れ!
 しかし、包丁ではなくて訪朝。つまり、北朝鮮を
 訪れた総理大臣のことだった!というトリック。

いかがですか?
さらに今回は特典として、もう1つオマケのトリックを
お付けいたしましょう!

*オマケのトリック*
 古き良き西部開拓時代が舞台かと思ったら、
 日光のウエスタン村だった!というトリック。

それでは、またのご注文をお待ちしております。



もちろん、私がすぐに4本の短編小説を書き上げたことは、
いうまでもない。
ライバル作家・上清水一三六と、4本ともネタがかぶってしまったのは、
偶然である。
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by osarudon1 | 2004-06-05 12:15