第29話・ふたりの殺戮者

「で、空のペットボトルを使うのか?」
「ああ。お前、モロトフカクテルって知ってるよな」
「火炎ビンのことだろ」
「コーラのビンだって、立派な武器になるんだ。
 空のペットボトルにも、有効な利用法があるのさ」
「なるほど。で、ボトルの中身は? ガソリンか?」
「火炎ビンじゃないんだぞ。まあ、化学兵器だな」
「ってことはその液体は」
「とびきり殺傷能力が高いやつを、ネットで見つけたのさ」
「それで虫けらどもを皆殺しってわけだ」
「その通り」


と、ここまで執筆した段階で、作者はふと考えた。
(この話のオチ、誰でも容易に読めるんじゃないか?)
作者の用意したオチとは、
キャップの部分に取り付けるタイプの噴霧器、
いわば簡易スプレーで、庭の花壇に殺虫剤を撒く、
というものだった。
つまり、火炎ビンというアイテムを冒頭に登場させることで、
この2人がテロでも起こすのでは、と錯覚させる仕掛けだ。
しかし、作者も気付いたように、あまりに単純。
誰もが「虫ケラ」を本物の害虫のことだと勘付くだろう。
これではまずい。
そこで作者は、当初の予定を変更し、
新たなオチを執筆することにした。

「よし、準備はオッケーだ。いくぞ!」
「了解!虫けらどもを殲滅だ!」
勢いよく飛び出した2人の行く手に、
数万匹ものスピアー軍団が待ち構えていた。

だめだ。
またポケモンオチでは読者に飽きられてしまう。
ならば、これでどうだ?

「よし、準備はオッケーだ。いくぞ!」
「了解!虫けらどもを殲滅だ!」
勢いよく飛び出した2人だったが、
玄関前でバナナの皮に滑って転び……

ぜんぜんだめ。
飽きられるどころか、怒られる。

「よし、準備はオッケーだ。いくぞ!」
「了解!虫けらどもを殲滅だ!」
勢いよく飛び出した2人だったが、
キャップ部分にスプレーじゃなくて
ペプシマンを装着してしまったことに
気付いていなかった。

お話になりません。

結局、この作者は、しょうもない結末の数々を
30パターンほど書きなぐり、
マルチエンディング小説として
発表したのだった。
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by osarudon1 | 2004-06-11 19:32