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第32話・風吹けど……

その日、東京に記録的な突風が吹いた。
風は、聞き込み中の刑事の手から、
某凶悪事件における重要参考人の写真を奪い取り、
彼方へと運んでしまった。
写真は、川べりの土手で空を眺めていた、
彼女いない歴26年の男の、眼前に落ちた。
男が写真を手に取ると、そこには、
高校時代に彼が片想いをしていた学園のマドンナが、
一段と美しくなって写っていた。
懐かしさも手伝って、忘れかけていた恋心が再燃。
彼は、自宅に帰り、卒業生名簿から彼女の実家の
電話番号を見つけ出し、携帯のボタンをプッシュした。
数回のコール音の後、聞こえてきたのは
「誰だ、てめえ?」という野太い男の声。
彼は思わず、電話を切ってしまった。

怪しい無言電話を受けたのは、
世間を騒がせている連続爆殺魔だった。
「俺のことを勘付いている奴がいるのか?やばいな」
爆殺魔は、身の危険を感じて、思想的同胞のいる
中近東の某国へ高飛びすることを決意。
しかし、空港へと向かう途中の高速道路上で、
中央分離帯を乗り越えて突っ込んできたトラックに
激突されて即死。
同時に、トランクルームに積んであった爆弾が
一斉に爆発し、車数十台を巻き込む大惨事に。

という感じで、どんどん悲惨な状況が続き、
巡り巡って最後には第三次世界大戦が勃発。

原因は東京に突風が吹いたことだったが、
いつまでたっても桶屋は儲からなかった。
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by osarudon1 | 2004-06-16 18:04