第33話・見上げてごらん

「ええ警部殿、完全な密室ですよ。1つしかないドアには
内側からカンヌキと3個の南京錠がしっかりとかかり、
その中で宿屋の主人は絞殺されていたんですから」
「窓はどうだった?」
「窓なんか、1つもありゃしません。見ての通り、全部ただの壁です」
「自殺という線はないのか?」
「首を絞めた凶器の紐が現場にありませんでしたから」
「なるほど。当然、秘密の抜け道が無いかどうかは、
確かめたんだろうな」
「もちろんです。さまざまな状況から考えて、犯人が
主人を絞殺した後で脱出することは不可能です。外からの
施錠も同様に考えられませんね」
「それじゃあ、いったいどうやって……」
警部は腕を組んで、天を仰いだ。
「ああーっ!」
「どうしました、警部殿?!」
「謎が解けたぞ! 我々は、この世界の暗黙のルールを忘れていた」
「暗黙のルール?」
「そうだ。この宿屋をはじめ、この世界に存在する建物には、
大きな特徴がある。それは、建物を外側から眺めた場合はおかしな
ところはないが、内部に入ると建物の構造が変化してしまうのだ」
「どういうことでしょう?」
「上を見ろ!」
「……あっ!」

























「天井も屋根もないだろう? 見えるのは青空だ。
犯人は上から脱出したのだ!」
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by osarudon1 | 2004-06-17 21:59