「ほっ」と。キャンペーン

第66話・イスタンブールの地下宮殿

上清水先生から電話がかかってきた。
「次のトラバボケで、壮大な仕掛けをしようと考えておるのだよ」
「前回のマルチエンディングは不評でしたからね。今度は何やらかすつもりですか?」
「うむ。実は、最近思うところがあるのだ。読者は果たして、どこまで切実に
 オチを読みたいのか、と」
「そりゃ、読みたいでしょうよ。オチがわからないままだったら、気持ち悪いもの」
「それは、そうだが、オチと引き換えにどこまで犠牲を払えるのか、ということだ」
「犠牲って、まさか課金するつもりじゃないでしょうね!?」
「私は金の亡者ではない。しかし、今のままでいいのだろうか」
「いいでしょう。いいと思いますよ。楽しい企画だし」
「投稿者は、みな心血を注いでボケやオチを考えるのだぞ。それを、
 クリックひとつで、しかもタダで全部読むことができるのだぞ」
「結構なことです」
「あまりに気軽に読めるから、心底読みたいというわけでなくとも、ついつい
 読んでしまっている人も多いと思うのだ」
「そうかもしれませんけど。いけませんか、それ?」
「いいとか悪いという問題ではなく、私は、切実にオチを求める読者がどれくらい
 いるのか知りたいだけだ。そこで、今回私は、ある仕掛けを施すことにした」
「どうせ、ろくなもんじゃないでしょう」
「まあ、聞きたまえ。今回、オチをブログ上で公開しない」
「はあっ?!」
「オチは、イスタンブールの地下宮殿入り口近くにある土産物屋の店員から、
 直接、口頭で聞き出してもらう」
「……」
「オチを知りたければ、トルコまで足を運んでもらうのだ。なんとグローバルでスケールの大きい企画だろうか」
「そんな酔狂な読者がいるもんですか!」
「いるかどうかを、知りたいのだ」
「先生の手間だってバカにならないでしょうに」
「いや、それは簡単。イスタンブールの知人にメールで指示を出すだけだよ」
「それだったら、読者の中にも1人くらい、現地に知人がいる人が存在するかも」
「むむっ?」
「それこそ、メールで知人に頼んで、オチを聞いてきてもらえばいいじゃないですか」
「むむっ?」
「で、そのオチを、自分のブログで公開されたら、先生の企画はオシマイですよ。
 っていうか、俺、現地に知人いるし、オチは激短ミステリィで公開しますよ」
「な、な、なんと!おのれ、便利になった世の中が憎い」
「さあさあさあ。どうします?」
「よし、オチはスペースシャトルの乗組員に……」
「よしなさいって!」
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by osarudon1 | 2004-07-21 11:59