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第72話・リレー小説

作家が、やっとのことで連載小説の導入部分を書き終えた。

横で待機していた編集者は、原稿に目を通すこともないまま、
作家の仕事場を飛び出し、出版社へと急いだ。

息も絶え絶えで帰社した編集者から、文芸雑誌の編集長は
原稿をひったくった。1分足らずでナナメ読みし、バイク便の
ライダーに原稿を渡した。

ライダーは法定速度も無視して、
臨戦態勢で待ち構えている印刷所へと爆走。

その後、印刷所でも数人の手を経て、
作品は刷り上がる。
タイムリミットぎりぎりで、原稿落ちは免れた。

「昔は、リレー小説って、そういう原稿のことを指していると
 思っていたんだよ」

と酒の席で若い作家にジョーク交じりで話しても、
彼らはピンとこない様子だ。

それも仕方がない。
作家はワープロで書いた原稿を出版社へメール送信。
その後の作業はすべてDTPで行われる時代なのだから。
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by osarudon1 | 2004-07-24 14:18