第80話・改訂新版



最初は小説雑誌に連載され、
連載終了後にハードカバーとして出版。
2年ほどするとノベルス化され、
さらに数年後に文庫化。

別に珍しくもない、ごくあたりまえといえそうな
小説出版パターンである。

作家の中には、版型が変わるたびに、内容を推敲し、
加筆・訂正を繰り返す人も多い。
推理小説の場合、トリックや犯人すらも変更してしまう
ツワモノすら存在する。

しかし、それも程度問題だ。
某ミステリィ作家、仮に名前を上清水一三六としておこう。
彼の場合は、一度とんでもないことがあった。

ハードカバーで出版された作品を文庫化する際に、
全面書き直し。
トリックも犯人も、物語の舞台も登場人物も、
そしてストーリーの流れも最初に出版されたものとは
全く違うものになってしまっていたのだ。

それはもはや、改訂版などと呼べる代物ではなかった。
この出来事は一部ミステリィマニアの間で評判になり、
絶版になったハードカバー版は、ヤフーオークションで
数万円の値もついたほどだった。

なぜ、上清水はそんなことをしたのか?
私は、本人から理由を聞いて愕然とした。

その理由とは?














「私は文庫書き下ろし企画をいただいて、新作を
 書いたつもりなんですが。前に出版した作品に
 つけた題名をすっかり失念していて、同じ題名を
 新作につけてしまったんですよ。わっはっは」
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by osarudon1 | 2004-08-06 19:07