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第84話・BLDG(ジャックはビルを見つめて)



高層ビル脇の路上。
白いチョークで人型が書かれている。
ビルの屋上から転落した男の名はジャック。

ジャックの転落死が自殺か他殺か事故死か、
検死の結果をみても判然としていなかった。

ただ、ジャックが落ちてくる直前に、通行人が
「バンジー!」と叫ぶ声を聞いている。

これが唯一の手がかりだった。
ジャックは自分を突き落とした人物の
名前を叫んだのかもしれない。

捜査線上に浮かんだ容疑者の名は「山田番次」。
しかし、番次には鉄壁のアリバイがあった。

* * * * * * * * * *

「と、いうわけなんですよ」
「ふむ。つまりバンジーの謎が解ければいいのだな」
「お願いします、名探偵X!」
「山田番次、アリバイがあるんだろ?だったらシロだ」
「でも、他にバンジーの解釈が……」
「バンジーといえば、他に思い当たるものがないか?」
「まあ、バンジージャンプですかね。ジャックが自殺と
 いう可能性も考えたんです。バンジー、と叫んで
 命綱のないバンジージャンプをしたのでは、とね」
「自殺ではないのか?」
「遺書もないし、動機も見当たらないんです」
「自殺ではなく、番次が犯人でもないとすると……」
「どうでしょう?」
「なるほど。これは実に凝ったダイイングメッセージだな」
「ダイイングメッセージ!? やはり犯人を示唆して
 いたのですか?」
「その通り。ジャックは、バンジーと叫んだのではない。
 バンバンジー、つまり棒々鶏と叫んで、通行人には、
 後半部分のみ聞こえたのだろう」
「棒々鶏、ですか? それが犯人を示していると?」
「凝ったダイイングメッセージだと言っただろう。
 棒々鶏だけではメッセージを解読したことにならない。
 棒々鶏といえば、ゴマ風味のタレが特徴だ」
「確かにそうですが」
「そのタレの名前は?」
「ええと、確か芝麻醤でしたか」
「そうだ。芝麻醤。チーマージャン。ちまじゃん。
 わかったろう? 犯人は〝ちま〟じゃん。急いで
 〝ちま〟という人物の所在を押さえるべきだな」
「さすがは名探偵X! ありがとうございました!」
「完全犯罪を狙ったつもりだろうが、私の推理にかかれば
 〝ちま〟とやらも万事休す。バンジー休す。なんちゃってー」

こうして名探偵Xの神がかり的推理によって、
ジャック転落死事件は解決した。
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by osarudon1 | 2004-08-11 14:54