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第90話・青薔薇かをるトリビュートアルバム



非業の死を遂げてしまった、人気作家・青薔薇かをる。
その死を悼み、生前に交流があった仲間たちが
トリビュート作品集を制作することになった。

しかし、どこでどう間違えたのか、小説ではなく、
音楽CDでトリビュート盤を作るというのだ。
おそらく、発起人となった上清水一三六氏が、
トリビュートといえば音楽、という短絡的な
発想をしたのに違いあるまい。

問題は参加メンバー。
全員が音楽に関しては門外漢。
音楽的手法を小説に取り入れるという実験を
過去に何度か行っていた上清水氏でさえ、
自分が演奏や歌に挑戦するとなると、ただの
ど素人なのだ。

とりあえず集まった顔ぶれは、作家仲間では

デジタル馬鹿一代・上清水一三六
物量作戦・張退作
年金未納作家・大泉鈍一郎
ゴーストライター募集中・龍華寺和実

の4人。

このほか、
名探偵X
殺人鬼J
そして、山形から張井呆太もかけつけた。

以上の7人が、それぞれの作品のレコーディングを開始。
しかし、問題は山積みとなっていた。

まず、上清水。
最近は「デジタル」という言葉に異常なほどの
こだわりを持っている彼だが、その解釈は独自のものだ。
くどいほど細部まで描写された歌詞。
歌詞に出てくる単語の解説音声を、5・1chの
リアスピーカーから流す。
そしてすべての楽器にディレイをかけまくる。
彼のイメージしたデジタル音楽とは、
そんな突拍子もない作品に仕上がっていた。

張退作は、なんとプログレに挑戦。
「プログレはおしなべて曲が長いから」
という理由が、なんとも彼らしい。
しかし、長いのも程度問題だ。
なんと、1曲6時間以上。CD5枚に収まるかどうか、
というほどの尋常ではない長さなのだ。
張退作の参加により、どうやらトリビュート盤は
CD6枚組のボックスセットになる模様。

他の参加者も、揃いも揃って常軌を逸した作品を提供。
特に殺人鬼Jは、音響的サブリミナル効果を用いて、
曲を聴いた者が全員、人を殺したくなる、という
犯罪的な楽曲をレコーディング。

こんなCDが、果たして発売できるのか?

いや、そんなことよりも一番の問題は、
これのどこが故・青薔薇かをる氏への
トリビュートになっているのか、ということだった。
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by osarudon1 | 2004-08-19 22:27