第98話・グッピーズ伝説(1st)



90年代後半、日本のロックシーンの片隅に
『グッピーズ』というバンドが登場した。
活動期間は正味4年間。
わずか5枚のアルバムを発表しただけで、
電撃的に解散してしまったバンドだ。

このグッピーズ、ヒットチャート的には
ほとんど実績を残していなかったが、
一部ではカルト的な人気を誇っていた。
まるで音楽版・上清水一三六とでもいうべき、
画期的な手法の作品ばかりだったからだ。

そして、解散後に明らかにされた衝撃の事実が、
このバンドの伝説化に拍車をかけることにもなった。
バンドの存在自体に、ある意味、トリックが
仕掛けられていたといってもいい。
そこで、激短ミステリィでは、グッピーズの活動を
アルバムごとにスポットを当てて再考してみたい。
衝撃の事実に関しては、5枚目のアルバム解説で
言及することにしよう。

今回は、まずインディーズから発売された、
記念すべき彼らのファーストアルバムをピックアップ。

* * * * * * *

『恋と涙のグッピーズ』

ファンの間でも特に人気が高い、スピード感あふれる
名曲「シラフで説教6時間」など、全10曲収録。
メンバーは
SONNY(ボーカル&ギター)
CHARLIE(ギター)
RYU(ベース)
MOTO(ドラムス)の4人で、この顔ぶれは
解散まで全く変わることがなかった。

アルバム全体が、60年代ブリティッシュビートの
テイストに満ちており、その筋のマニアには大ウケ。
しかし、名も無いインディーズバンドが注目された、
その最大の理由は画期的なリリース形態にあった。

アルバムはインディーズ盤を扱うCDショップの
店頭に並んだのだが、パッケージの中に入っている
CDは、なんとブランクCD-R。
購入者はブックレットに表記されたインターネットの
アドレスにアクセスし、そのサイトからMP3音源を
ダウンロード。10曲を、自分好みの曲順で、CD-Rに
焼き付けて完成させる、というシステムだったのだ。

この試みが音楽雑誌等でも注目を集め、メジャーの
レコード会社からも声がかかり、次回作からは、
メジャー流通での発売となった。

とはいえ、メジャーに移ってもグッピーズの斬新な
リリース作戦は留まるところを知らなかった。
次回は、メジャー第1弾となるセカンドアルバム、
『グッピー・グッピー・シェイク』を取り上げよう。
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by osarudon1 | 2004-09-01 12:35