第100話・グッピーズ伝説(3rd)


(第98話、99話を未読の方は、そちらからお読みください)

『絶海の孤島にて』

グッピーズのサードアルバムは、架空の殺人事件を
テーマにした、ロックオペラとでもいうべき、
一大コンセプトアルバムとなった。

収録曲は『孤島の殺人鬼』など全10曲。
1曲1曲が独立した曲ではあるものの、全体を通して
1つの物語になっている。

物語のベースになっているミステリィ小説は、
推理マニアでもあるボーカルのSONNYが
書き下ろしたもの。

実は、この小説がサードアルバムの独特な
リリース形態の鍵を握っていたのだ。

発売日に店頭に並んだのは、CDではなくて
「絶海の孤島にて」と題されたノベルス本。
ブックカバーに印刷された応募券を送ると、
もれなくCDがもらえる、という仕組みになっていた。

これもバンド側の意図としては、別に奇をてらった
わけではなく、ちゃんとした理由があった。
ストーリー性の強いロックオペラといっても、
CD1枚に収録される楽曲の歌詞だけでは、
リスナーに物語の流れが完全には伝わらない。
そのため、先に小説を読んでもらってから、
CDを聴いてもらう、という意図だったのだ。

他にもちょっとした仕掛があった。
小説には、殺人事件の真相を明らかにする
解決部分が無い。真犯人、トリック、動機などは、
CDの最後に収録されている『謎はすべて解けた』
という曲で初めて明かされるものだった。

まあ、ミステリィとしての完成度は、今ひとつ、
といった感が無きにしも非ずだったが、音楽的には
ジャズやラテン、ボサノバなどの要素も取り入れた、
聴き応え十分の意欲作といえる。

ここに至って、ファンの興味も〝次はどんなリリース
形態になるのか?〟という盛り上がりを見せはじめた。

そして、注目が集まる中、グッピーズが発表した4作目の
アルバム『スウィート・グッピーズ』は、
またしてもファンを唖然とさせるアルバムとなったのだった。
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by osarudon1 | 2004-09-02 18:37